エアコン、ファンヒーター、電気ストーブ・・・

数ある暖房器具の中で、一体何がお得で、何が自分にあっているのか?本体価格も大きく違うので、購入にあたって迷っている方も多いでしょう。

それぞれの器具の電気代や灯油代、メリット、デメリットを把握し、自分の生活に合った器具を選んで、快適に、お得に冬を乗り切りましょう!




ランニングコストの比較

まずは、みなさんが一番気になるランニングコストについて比較してみましょう。

10畳用エアコンの定格暖房能力は、1時間あたり3.6kW(キロワット:熱量の単位)となります。10畳の部屋を暖めるには、1時間あたり3.6kWの熱を室内に与える能力が必要という意味だと思ってください。当記事ではこの数字を目安に比較していきます。

エアコンの電気代

エアコンの仕組上、電気代は機種や外気温に大きく左右されます。ここでは、ダイキン工業のルームエアコンから、特に省エネ性を意識したものではない、普及価格帯の商品を例に計算していきます。

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ダイキン工業の10畳用で、最も安いベーシックモデル(Eシリーズ)について、仕様を確認すると、次のような数値が確認できました。

参考品番 S28VTES
定格暖房能力 3.6kW
定格消費電力 ※1 0.86kW
低温暖房時
消費電力 ※2
1.23kW

※1 定格暖房能力を出したときの消費電力。室内20℃/外気温7℃
※2 低温暖房(室内20℃/外気温2℃)時の消費電力。

定格時は消費電力が0.86kW、低温時は1.23kWと、外気温が低い方がエアコンの消費電力が大きくなることが分かりますね。この2つの消費電力をベースに、1時間あたりの電気代を計算していきます。

定格時の電気代

まずは定格(外気温7℃)時の電気代を計算していきます。

上記10畳用エアコンの定格消費電力は0.86kWでした。これを1時間運転し続けると、

 0.86kW×1h=0.86kWh(キロワット時)

の電気量が必要となります。料金単価として、新電力料金目安単価の1kWh=27円で計算すると、

 0.86kWh×27円≒23.2円

となりました。外気温7℃で10畳用エアコンを1時間運転すると、約23.2円の電気代がかかることになります。

低温時の電気代

真冬の外気温は氷点下になることも少なくありません。ここは低温暖房(外気温2℃)の電気代も検討しておくべきでしょう。

上記10畳用エアコンの低温消費電力は1.23kWでした。これを1時間運転し続けると、

 1.23kW×1h=1.23kWh(キロワット時)

1kWh=27円で計算すると、

 1.23kWh×27円≒33.2円

低温時は1時間あたり約33.2円の電気代となり、定格時の約1.4倍の電気代が掛かることが分かります。

エアコンの電気代

  • 定格条件(室温20℃/外気7℃):23.2円
  • 低温暖房(室温20℃/外気2℃):33.2円

※ダイキンの10畳用(S28VTES)を参考。

石油暖房機のコスト

次に、石油暖房機のランニングコストについて考えてみましょう。

※当記事では、石油ファンヒーターと石油ストーブの2つを総称して「石油暖房機」と呼びます。

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灯油代の計算

灯油を燃やした時に発生する熱量は、1ℓあたり約10.3kWとなります。つまり、10畳用エアコンと同じように、1時間で3.6kWの能力を発生させようと思うと、

 3.6kW÷10.3kW=0.35ℓ

の灯油を、1時間で燃やす必要があります。灯油の料金は時期によって変動しますが、1ℓ=90円程度で販売されていたとすると、

 0.35ℓ×90円=31.5円

1時間あたり、31.5円の灯油代がかかることになりますね。

電気代の計算

石油ファンヒーターの場合は、温風を循環させるためにファンが搭載されています。この場合は、ファンを回転させるための電気が必要になります。消費電力は機種によって異なりますが、こちらも大手「コロナ」のスタンダードモデルを例に検討してみます。

コロナの10畳用ファンヒーター(参考品番:FH-ST3617BY)では、燃焼時の消費電力が22W(=0.022kW)となっています。こちらも1時間当たりで計算すると、

 0.022kW×1h=0.022kWh(キロワット時)

となり、1kWh=27円とすると

 0.022kWh×27円≒0.6円

の電気代がかかることになります。先の灯油代と合わせると、

 31.5円+0.6円=32.1円

となり、大よそエアコンの低温暖房時とほぼ同じランニングコストがかかることが分かりますね。

石油暖房機のランニングコスト

  • 石油ストーブ(ファン無)の場合:31.5円
  • 石油ファンヒーターの場合:32.1円

※コロナ社の10畳用(FH-ST3617BY)を参考。

ガスファンヒーターのコスト

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都市ガスやプロパンガスを利用したガスファンヒーター。給油要らずで使用でき、点火が早いため根強いファンの多い暖房器具です。まずは、気になるコスト面を見てみましょう。

都市ガスの場合

ガス代は、都市ガスかプロパンガスかによって大きく変わります。まずは比較的安価な都市ガスで計算してみます。

都市ガス(13A)を燃やしたときの熱量は、1㎥あたり約12.8kWとなります。10畳用エアコンと同じく、1時間あたり3.6kWの熱を発生させるには、

 3.6kW÷12.8kW≒0.28㎥

の都市ガスが必要となります。大よその価格として、1㎥=150円とすると、

 0.28㎥×150円=42円

のガス代がかかることになります。ガスファンヒーターでは、石油ファンヒーターと同様に、ファンを回すための電気代がかかりますが、こちらは石油ファンヒーターとほぼ同等と考えて差し支えないので、ここでは、上で計算した石油ファンヒーターの電気代(1時間あたり)0.6円を引用します。

すると、合わせて1時間あたり42.6円のコストがかかることになりますね。エアコンや石油暖房機と比べると、ちょっと割高という印象です。

プロパンガスの場合

プロパンガスは一般的に都市ガスよりも高価です。

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プロパンガスを燃やしたときの熱量は1㎥あたり約27.9kWです。1時間あたり3.6kWを発生させるためには、

 3.6kW÷27.9kW≒0.13㎥

のプロパンガスが必要です。プロパンガス料金消費者協会によると、関東地方の1㎥あたりの平均価格は491円となっていますので、今回はこれを元に計算します。

 0.13㎥×491円≒63.8円

ファンの電気代0.6円とすると、合わせて64.4円のコストがかかり、エアコンや石油暖房機の約2倍のコストになりますね。

ガスファンヒーターのコスト

  • 都市ガス(13A)の場合:42円
  • プロパンガスの場合:64.4円

※電気代はコロナ社の10畳用石油ファンヒーター(FH-ST3617BY)を参考。

電気ストーブの電気代

他にもよく見る暖房器具が電気ストーブですね。

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ハロゲンヒーターや、最近話題のセラミックファンヒーターも電気ストーブの一種となります。

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出典:ダイソン/セラミックファンヒーター

電気ストーブの特徴としては、エアコンや石油暖房機などと比較して、比較的能力の低い1kW前後の製品が主流であることです。

また、電気ストーブで1kWの熱を発生させようとすると、1kWの消費電力が必要になります。つまり、仮に10畳用エアコン同等の3.6kWを発生させると、3.6kWの消費電力が必要ということです。先に紹介した10畳用エアコンは、3.6kWを発生するのに、定格で0.86kWの消費電力で済んでいたので、エアコンと比べると非常に非効率な器具だと言えます。

電気ストーブは基本的に部屋全体を暖めるのではなく、局所的に人のいる場所を暖める目的で使用するものです。1kW程度の小型製品が多いのもそのためです。こたつのようなものだと思っておきましょう。

「仮に」電気ストーブで3.6kWの熱を発生させたとすると、

 3.6kW×1h=3.6kWh(キロワット時)

の電気量が必要となり、1kWh=27円だと

 3.6kWh×27円=97.2円

の電気代が、1時間あたりかかることになります。1日8時間暖房して、1ヶ月で約24,000円。電気ストーブで部屋全体を暖房するなど、とんでもない話になってしまいます。

電気ストーブのランニングコスト

  • 電気ストーブは局所暖房向き。
  • 「仮に」10畳用相当(3.6kW)を得る場合、1時間あたり97.2円

ランニングコストのまとめ

ここまでで、それぞれの器具のコストを比較してきました。分かりやすく表にまとめると次のようになります。

エアコン 石油暖房機 都市ガス プロパン 電気ストーブ
能力 3.6kW
1時間当たり
消費量
0.86kWh
(定格)
0.35ℓ 0.28㎥ 0.13㎥ 3.6kWh
1.23kWh
(低温)
料金単価 27円/kWh 90円/ℓ 150円/㎥ 491円/㎥ 27円/kWh
1時間当たり
コスト
(消費量×単価)
23.2円
(定格)
31.5円 42円 63.8円 97.2円
33.2円
(低温)
備考 ファンヒーターの場合
電気代として+0.6円

外気温や料金単価にも左右されますが、こうして比較してみると、エアコンと石油暖房機のコストが比較的安く、効率が良いのが分かりますね。

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ご自宅に各種明細があったり、ご近所の灯油販売価格が分かれば、料金単価を実際の価格に置き換えて計算頂くと、より正確に比較ができると思います。

 例.都市ガス単価が130円の場合:
 (0.28㎥×130円)+0.6円=37円

エアコンの特徴

コストを考えた場合、エアコンか石油暖房機が安いということは分かりました。

しかし、コストばかりを考えて暖房器具を選ぶと後悔するかもしれません。暖房器具は「部屋が快適になってこそ」暖房器具だからです。それぞれのメリット・デメリットを知って、快適に、お財布にもやさしく冬を過ごしましょう。

エアコンのメリット

エアコンのメリットはその効率の良さです。

外気温に消費電力が左右されるエアコンですが、定格条件(外気温7℃)での効率は他の追随を許しません。たとえ低外気温であっても、効率が悪いわけではなく、先の試算でもトップクラスの効率の良さを誇っています。

電気と灯油の料金単価を比較すると、電気の方が料金が安定しているとも考えられます。

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震災以降は徐々に上昇気味ですが、平成に入ってからの長期間で見ると、比較的安定しているのが見てとれますね。

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出典:資源エネルギー庁「石油製品価格調査」より作成。

灯油価格は、電気に比べ平成に入ってからも変動が激しく、2005年は18ℓで1,000円以下だったのに対し、年によっては2,300円以上、近年でも1,500円前後と、電気料金と比較して変動が激しいように思えます。効率が良く、料金単価が安定していることはエアコンの大きなメリットと言えそうです。(※今後の価格推移について保証するものではありません。)

エアコンのデメリット

本体価格が高い。

エアコンは本体価格が高いです。取付工事も必要ですし、どんなに安くても5万円以上はかかるでしょう。また、工事で建物に固定してしまうので、気軽に持ち運びができないのも他の暖房器具と比べるとマイナス点です。

足元が冷えやすい。

室内の暖気は天井付近に滞留しやすいため、天井近くに設置されるエアコンの暖気は、どうしても床までは届きにくくなります。

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足元から暖気を吹き出すファンヒーターなどと比べて、足元が冷えやすく、空気の循環が苦手という特徴があります。

霜取りが必要。

エアコンの仕組上、暖房運転を行うと室外機に霜がついてしまいます。

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霜が大量についてしまうと、エアコンの効率が落ちたり故障にも繋がるため、1時間に10~15分くらいの頻度で、自動的に霜取り運転に入るようになっています。霜取り中はエアコンから全く温風が出ず、寒い思いをすることになりますが、これはエアコン暖房の宿命であり、大きなデメリットです。

外気温が低くなるにつれて、霜が付く量も増えて、霜取りの頻度が上がるため、寒冷地の方がファンヒーターをよく使っているのも、これが原因ということが多いでしょう。

石油暖房機の特徴

石油暖房機も現状の灯油価格なら、とても優秀な暖房器具です。

石油暖房機のメリット

効率的に暖まる!

石油暖房機のメリットは、エアコンと遜色のないランニングコストで、足元から効率的に部屋を暖められることです。

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ファンヒーターなら、ファンによる温風で部屋の空気をうまく循環させられるので、比較的部屋を均一に暖めていくことができます。

局所暖房にも使える。

ほとんどの石油暖房機には、火力調整機能が付いています。エアコンは基本的に部屋全体を暖めるものなので、部屋に1人だからといって局所的に暖めることはできません。

しかし、石油暖房機なら弱運転で、暖房機の前だけ暖めるという使い方も可能です。そのような使い方をしているときは、エアコンよりもはるかにコストのかからない運転ができます

持ち運びがカンタン。

石油暖房機は手軽に持ち運びができるので、局所的に暖房ができるというメリットがさらに大きなものとなります。キッチンや書斎など、1人で居ることが多い場所にちょっと持って行くにもおススメです。

本体価格が安い。

本体価格が安いことも石油暖房機の魅力です。

ファンヒーターでも、小型のものは1万円以下から購入できますし、10畳用タイプでも1万円~2万円までの価格帯で十分購入が可能です。

外気温の影響を受けない。

エアコンのデメリットとして、外気温が性能に与える影響が大きいことが挙げられます。

エアコンは外気温が低いと消費電力が上がりますが、あまりに低外気温になると、部屋を暖める能力も低下してしまいます。石油暖房機なら、気温が氷点下になっても安定して能力を出すことができるため、ここも寒冷地に石油暖房機が好まれているポイントです。

石油暖房機のデメリット

空気が汚れる。

石油暖房機は、灯油を燃焼することによって、室内の空気を汚してしまいます

3時間に1度くらいは換気をして、部屋の空気を入れ替える必要があります。エアコンの霜取りほど頻繁ではありませんし、温風が止まるわけではないので、暖房機の前に居れば暖かいですが、窓を開けたりすることによって室温が一時的に下がることは理解しておきましょう

給油が面倒。

石油暖房機を使用するにあたって、ガソリンスタンドなどに灯油を買いに行く必要があります。家まで配達してくれるサービスもありますが、大抵は店頭価格よりも高い価格になります。

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車などの移動手段があれば、買い物のついでに購入してくることもできますが、歩いて買いに行かなければならないのは重労働です。配達サービスを利用する場合は、店頭価格よりも高価になってしまうことを念頭に置いておきましょう。

また、灯油の価格変動によっては、エアコンとの効率差が広がってしまい、コスト増につながる可能性もあります。(逆に電気代が高くなり、灯油の方がお得になる可能性もありますが・・・)

石油ストーブは危険度が高い。

ファンヒーターであれば、前面から熱風が出てくるだけで、本体全体が火傷するほど熱くなるわけではありませんし、少し強い衝撃を感知すれば停止するなど、安全機能も充実しています。

しかし、昔ながらの石油ストーブは、全体が高温になるのでぶつかったりしたときには危険性が高いです。(私は小さい頃、頭からダイブしてエラいことになりました・・・)特に小さな子供がいる場合は十分注意が必要です

ガスファンヒーターの特徴

ガスファンヒーターのメリット・デメリットは石油ファンヒーターとほぼ同じです。

違うのは、ガスの場合、ガスの供給口からホースで燃料を供給するので、給油が不要になる反面、ホースの届かない範囲には持ち運びができないことです。また、現状(記事執筆時点)の価格では、エアコンや灯油と比べて、ガスの方がコストがかかります。

一番のメリットは、他の暖房器具より点火が早く、運転開始から温風が出るまでが早いことです。機種にもよると思いますが、ボタンを押して数秒程度で温風が出てくるとのこと。ガスファンヒーターを好む方は、この点火の早さを体験してしまって戻れない、という方が多いようです。

電気ストーブの特徴

上でもお話しした通りですが、電気ストーブは部屋全体を暖めるには全くおススメできません。

しかし、強弱設定ができるものが多いため、「弱め」にしてキッチンなどで局所的に使用するなら便利です。コンセントさえあれば手軽にどこでも使えますし、石油ストーブのように空気を汚すこともありません。クリーンで局所的な暖房なら電気ストーブは検討の余地ありです。

「エアコンは乾燥する」は嘘!

暖房器具を選択する上で、知っておいてもらいたいことがあります。私の周りでもよく聞く話ですが、

エアコンは乾燥する。

という話。

これは半分本当で、半分デタラメです。

「エアコン暖房が乾燥する」のではありません。「空気を暖めると乾燥する」のです。なので、エアコンは乾燥して、他は乾燥しないという話はあり得ません。おそらく、昔は石油ストーブの上にヤカンや鍋を置いて、同時に加湿をすることも多かったので、誤解が広まったのではないかと思います。

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今でも石油ストーブでそのような使い方をするなら別ですが、そもそもファンヒーターだろうが、電気ストーブだろうが、空気は暖めれば乾燥します

なので、エアコンは乾燥するから・・・という理由で暖房器具を選択するのはやめましょう。乾燥を防ぐなら、ストーブにヤカンか、加湿器を置くかです。

高暖房型のエアコン

エアコン暖房には、床面を暖めることが苦手なことや、低外気温のときは性能が下がってしまう特徴があるとお話しました。

とはいえ、

  • 石油暖房機で換気をするのが嫌だ。
  • 真冬に窓を開けるなんてとんでもない!
  • 給油なんか面倒だ!

そんなあなたにおススメのエアコンがあります。それが寒冷地向けの高暖房型エアコンです。

普通のエアコンと比べて、霜取りの頻度も少なく、氷点下でも性能を維持するのが特徴です。各メーカーによって呼び名は異なりますが、代表的なのは次のようなものです。

  1. ダイキン「スゴ暖」
  2. 三菱電機「ズバ暖霧ケ峰」
  3. Panasonic「寒冷地向けエアコン」

エアコン暖房の弱点である床面への温風吹き出しも、各社工夫を凝らして対応していますよ。

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これなら、低コストで快適で、かつクリーンな暖房が可能です。(初期コストは高くなるかもしれませんが)ご興味のある方は、家電量販店などで各モデルの性能や機能を店員さんに聞いて、実際に見比べてみて下さいね!

あとがき

今回は各種暖房器具のランニングコストや、特徴についてご紹介してきました。

自分にあった暖房器具を探すのは大変ですが、快適に、お得に冬を乗り切るために、生活の色々な場面を考えて選んでみて下さいね!

最後までお読み頂きありがとうございました!
それでは、また!୧꒰*´꒳`*꒱૭✧